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    自然に学ぶ企業の生き残り戦略    《2005.04.19 vol.002》
     < http://civil-nature.com/ >

   生物は、厳しい自然の中で、どうやって生きのびているのか?
   生物の戦略から、複雑な現代社会を生きぬく企業について考える。
   エコロジー的思考のすすめ 異色のメールマガジン
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 ● 強者の戦略−優占種とコストリーダーシップ戦略
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自然の中でも、経済の中でも、一番‘うまく’できれば、戦略など考える必要もないのかもしれない。ただ、一番‘うまく’やればいい。出発点に、そんなトップがとる強者の戦略を考えてみたい。

林の中には、いろんな植物が生えているが、よく見てみると、樹冠をおおっている植物はだいたい同じ種類の樹木だったりする。
ある場所で一番広い場所を占めている植物を植物生態学では、「優占種」とよぶ。たとえば、関東周辺の里山では、落葉樹林のクヌギ−コナラ林がよくみられ、クヌギ−コナラ林の「優占種」はクヌギやコナラということになる。

いろんな植物が光や水や養分を吸収できる場所を取るためにしのぎを削る中で、一番広い場所を占有している「優占種」は植物のメジャープレーヤーといえる。

植物による場所取り競争で重要なポイントのひとつは「高さ」だ。クヌギやコナラは、幹を伸ばして、里山の中では一番高い場所を多く占拠している。「高さ」がある植物の方が天から降りそそぐ太陽の光をとらえやすい。高い植物と低い植物が同じ場所にいた場合、当然、高い植物が太陽の光を独占的にとらえてしまうため、低い植物は、高い植物の取りこぼした光をとらえるのが精一杯だ。

もちろん、クヌギやコナラも、いきなり「高さ」がある大木の状態で生まれてくるわけではない。最初は小さなどんぐりでしかないものが、芽を出し、葉を広げ、根を張り、その場所にとどまって幹を伸ばし、少しずつ「高さ」を獲得していく。そして、クヌギやコナラが、ほかの植物より高い場所に葉を広げられる大木になったとき、独占的に太陽の光をとらえることが可能になり、里山の植物のメジャープレーヤー「優占種」になれるのである。

経済でも、「優占種」のようなリーダー企業がいる。身近なところでは、コーヒーショップの市場で高いシェアを占めているドトールコーヒー(以下ドトール)はコーヒーショップのメジャープレーヤーといえるだろう。一昔前には、個人経営の小さなコーヒーショップがあちこちにみられたが、最近は、街にあるコーヒーショップのほとんどがドトールになってしまった印象さえある。

ドトールは、もともとコーヒー豆の焙煎卸売業だったが、1972年に「カフェ・コロラド」でコーヒーショップに参入している。
「客が毎日コーヒーを飲んでくれるには、200円以下でなければならない。」
どうやったら200円以下でコーヒーを提供できるかという点から「ドトールコーヒーショップ」を立ち上げたと、以前、ドトールの鳥羽社長がテレビで話していた。
もちろん、ただ値段を下げるのではなく、コーヒーマシンを導入したり、セルフサービスにしたりと、コーヒーの調達、製造、店の運営まで様々な経験やノウハウを駆使して、初めて200円以下でコーヒーを提供しても利益がでるようになる。

クヌギやコナラが幹を少しずつ伸ばして、ほかの植物が届かない「高さ」を獲得し、独占的に太陽の光をとらえ、「優占種」の地位を得ているように、ドトールも経験や知恵を積み重ねて、ほかのコーヒーショップが簡単にまねできない「低価格」を実現し、この「低価格」によって独占的に顧客をつかみ、高いマーケットシェアを維持している。

経営コンサルティングの世界でも、製造経験を積み、効果的に低コストを実現して、高いマーケットシェアをとることが基本戦略の一つとされている。
これは、企業が商品をつくる経験を積むごとに単位当たりの製造コストを下げられるという経験効果が知られているからだ。

企業は製造を経験しながら、新しい技術の導入、不必要な経費の削減、製造工程の変更、製品規格の統一などをおこなって、単位当たりの製造コストを低くすることが可能になる。もちろん、コストが自動的に減るのではなく、製造の経験によって、コスト削減のしかたがわかってくるだけで、実際に様々な取り組みをしなければ、コスト削減によって生産性を高めることはできない。

企業戦略論の第一人者マイケル・ポーターは、ドトールのように、ほかの企業よりも安い価格で商品を提供する生産コストの削減に重点をおく低コスト・低価格企業の戦略を「コストリーダーシップ戦略」とよんでいる。ウォルマートやトイザらスが低コスト・低価格の代表的な企業だ。

一般的に低コスト・低価格企業は、利益幅は少ないが、高いマーケットシェアを得ることで、膨大な販売量を確保する。膨大な販売を経験することで、低価格企業は、さらに、低コストを生みだす機会を得る。このようにして、低価格企業は、もっとも効率のよい製造や販売で市場を占有し、市場のリーダーシップをとるようになる。

文字どおり、低コストにより、リーダーシップをとる戦略である。

「それでは、リーダーになれない企業はどうしたらいいのか?」
「高さ」を獲得することで、「優占種」となったクヌギやコナラでも、里山がクヌギとコナラだけになってしまうことがないように、日本中のコーヒーショップがドトールになってしまうこともない。混沌とした自然や経済の世界では、唯一の正解はない。

多くの植物が、「優占種」と別の生き方をすることで、「優占種」の影響から逃れ、生存場所を確保するように、リーダーになれない企業は、独自の「生き残り戦略」を探し求めなければならないのかもしれない。

                              (明地涼太)

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〜〜《編集後記》〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

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   発行人: 明地涼太
   E-mail: akechi@civil-nature.com

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